平成21年度オオタカモニタリング調査結果の概要

(印刷用)

1 センター近傍のオオタカペア(センターペア)について


 4月初旬に実施した造巣期の調査において、環境整備センターに近接する林内でオオタカ(センターペアと命名)の新たな営巣木を確認しました。オスの特徴から、これまで浅尾集落東側に営巣していたオオタカが移動してきたことがわかりました。
 事業団では、センターの業務が繁殖に影響を与えないようにするため、センターペアの繁殖の様子をビデオ観察することを決め、抱卵期の5月2日からビデオモニタリングを開始しました。

N30抱卵中

≪抱卵中の様子(5月4日)≫


 ビデオでの観察を始めたところ、5月4日には抱卵状況に異常(離巣回数・時間が長くなる)が見られました。その後、5月6日以降、雨天にもかかわらず長時間離巣するようになり、5月8日には巣内滞在時間が約1時間となりました。
 5月9日以降は入巣しなくなり、その二日後以降、メスの姿を巣の周辺で見かけなくなりました。

5月 4日 抱卵状況に異常
5月 6日 降雨の中、長時間離巣
5月 8日 抱卵時間が1時間のみ
5月 9日 ほとんど入巣しなくなる
5月11日 メスがいなくなる

≪ビデオ観察の状況≫

 抱卵をやめたと思われるような状況を受け、事業団では専門家の助言のもと、5月13日に巣の踏査を実施したところ、営巣木の西側約2mの場所と同じく北側約3mの場所でオオタカの卵殻を発見しました。
 卵殻の形状と量、発見場所から卵2個分であると推察されるとともに、その状態からは、比較的繁殖初期に落ちたものと思われました。

N30卵殻_西側

≪林内で発見した卵殻(5月13日)≫


 このような状況から、センターペアの繁殖が中断した可能性が非常に高くなりました。しかしながら、巣内に卵が残っている可能性も残されていることからビデオ観察は継続することとしました。 (今回のビデオは、巣を下から見上げる位置からの観察だったため巣内を直接見ることができませんでした)

 6月19日、営巣木への再度の踏査を実施したところ、繁殖が行なわれていないことが確認されました。

 繁殖中断の時期は、5月11日ころと思われます。

 ビデオの記録では夜間を除き、カラス類や小動物が巣内に侵入してはいません。 また親鳥が巣から卵殻や何かを排出した記録もありません。一方、卵の落下と繁殖の中断の因果関係はわかりません。このため、中断の原因は不明との判断に至りました。 

N30営巣放棄

≪繁殖中断後の巣(6月19日)≫

2 搬入ルート沿いのオオタカペア(搬入ルートペア)について


 一方、センターの搬入ルート沿いでも、4月の調査でセンターペアとは別個体(搬入ルートペアと命名)の営巣が確認されました。このため、搬入ルートペアの繁殖状況もモニタリング(定点調査)していくこととしました。

N33造巣期

≪巣内のつがい(4月15日)≫


 5月6日の調査では、巣の中から鳴き声が確認されたことから、抱卵中であると推測しました。また5月16日の調査では、巣の近くでの採餌行動が確認されました。
 ところが5月20日の調査からは、巣の周辺でのオオタカの出現が確認できなくなりました。
 6月4日、地元保護団体から「繁殖が中断している可能性が高い」との情報提供がありました。そこで、雛が十分に成長して繁殖への影響が小さい巣内育雛期後半に入った6月19日、営巣木への踏査を実施したところ、小さな卵殻を採取した他には、生活痕が何ら確認できませんでした。
 原因は不明ですが、5月20日の時点で、搬入ルートペアは繁殖を中断していたものと判断しました。

N33営巣放棄

≪繁殖中断後の巣(6月19日)≫
 

【センターの運営とオオタカの繁殖中断について】

 センターペアに対しては、その営巣木がセンター敷地に近いことから、事業団ではオオタカ保護連絡会議を招集し、保護策を検討しました。そして、会議で了承されたいくつかの対策を実施することを決めていましたが、結果的には業務開始(5月18日)よりも前に繁殖が中断してしまいました。
 また搬入ルートペアについても繁殖に配慮し、道路管理者等の協力により、5月20日の施設オープンまでは道路を開通させていませんでした(センターの道路使用開始は21日から)。しかし、搬入ルートペアの繁殖は5月20日の段階で中断していたと思われます。
 いずれのペアについても、センターの直接的な影響はなかったと考えています。
 なお、センターペアのオスについては、6月以降も営巣木周辺に生息していることから、引き続きセンター近接地を営巣地として維持しているものと思われます。
 

【21年度の今後の対応】

  1. 地元自然保護団体と連携し、センター周辺の林内におけるオオタカの二次繁殖の調査を実施していきます。
  2. オオタカ保護連絡会議を開催し、今年度の繁殖状況の結果評価を行ないます。
  3. 来年度のオオタカ調査について、検討していきます。